【必読】WorldcoinとAI時代を理解するためのサムアルトマンの超重要論考Moore’s Law for Everythingを日本語に翻訳しました

Worldcoin関係の記事

OpenAI代表で、ワールドコイン共同創業者のサムアルトマンは2021年の3月に、Moore’s Law for Everythingという論考を発表しました。

この論考でサムアルトマンは、自らの思想や目指しているものなどについて詳細に記述しています。
Worldcoinのことは直接的には記載されていないものの、AIが発達した時にベーシックインカムのような仕組みが必要である理由も丁寧に解説されています。

内容としてもとても面白いですし、Worldcoinを理解する上でも必須の論文だと思ったので、読みやすくなるよう一部意訳を入れた上で日本語に翻訳し、このサイトに載せておくことにしました(英語の原文はこちら)。

サムアルトマンは現代社会における最重要人物のうちの一人であり、彼が何を考えているのかは知っておいた方が良いと思います。

以下、日本語訳になります。
(※あと、本記事と合わせてこちらの「Worldcoin(ワールドコイン)とは何か?どんな目標があるのかを解説します」という記事も読んでおいてもらえたら助かります。)

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万物のためのムーアの法則

OpenAIで仕事をしていると、これから経済や社会が多くの人々が予想するより早く変わること、その変革のインパクトが甚大であることをよく感じます。
思考し、学習もできるソフトウェアが、いま人々が行っている仕事の多くを代替して担うようになります。力の勾配も労働から資本へとますます移行するでしょう。

もし政府がこの変化に上手く政策的に対応できなかった場合、多くの人々が今より悲惨な状況に陥ることになります。

私たちはこの技術がもたらす未来を受け入れつつ、今の世界に存在する資産のうち、主要な構成要素たる
・企業の株式
・土地
の2つに資産課税し、その資産が生む富の一部を人々に公正に分配する仕組みを創る必要があります。
そうすれば、社会の分断がこれ以上ひどくなるのを防ぐことができますし、新たに生まれる富の恩恵を誰もが享受できるようになります。

これから5年以内に、思考できるAIが法律文書を読んだり、医療アドバイスを提供するようになるでしょう。
10年後は、AIは組み立てラインの作業を行ったり、あなたの友人になっているかもしれません。
そして数十年後には、彼らはこの世界にあるほぼ全てのことを行っているでしょう。研究を行なって科学的な新発見や成果をもたらし、人類が持っている「全て」という概念自体を拡張することすら、AIは担うようになります。

この技術革命は止められません。
そして、私たちがより賢いAIを創るのをこれらのAI自身が手助けしてくれるので、技術革命のペースが再帰的かつ指数関数的に加速していきます。
その結果、次の3つのことが起きます:

1. 膨大な富が生まれます。一方、多くの職種において、労働の価格(これが商品やサービスの主なコスト要因です)は、その仕事を代替できるだけの優秀なAIが労働市場に参加したとき、ゼロへと低下していきます。

2. 人々が快適な生活を送るためには、AIが生んだ富を分配するために、世界全体が急激に変化するのに合わせたドラスティックな政策的対応が必要になります。

3. もし上記の1と2の両方を正しく行うことに成功した場合、今まで以上に人々の生活水準を向上させることができます。

この大変化は始まったばかりです。
それゆえ、今こそ理想的な未来に向けて現状の社会制度を変えていくチャンスだとも言えます。

なお、この社会制度の変革は、単にいま起きてる社会的・政治的な問題に対処するだけではなく、近い未来に到来する今とは根本的に異なる社会を念頭において設計される必要があります。
仮に先史時代や封建社会の社会制度を現代社会でやろうとしても上手くいかないはずです。
それと同様に、AIがもたらす大きな変化を考慮せずに政策立案をした場合、間違いなく失敗するでしょう。

以下、これから起こることと、この新しい状況を切り抜けるための私案を書いてみます。

第1部 AI革命

長期的な時間軸では、テクノロジーは指数関数的に進歩します。
15年前(スマートフォンがなかった時代)、150年前(内燃機関も家庭用電気もなかった時代)、1500年前(産業機械がなかった時代)、15000年前(農業がなかった時代)の世界を比較してみると分かると思います。

これから訪れる変化は、「驚異的な思考、創造、理解、推論能力」など、人間の能力の中で最も特徴的な分野において起こります。
AI革命は、農業革命、産業革命、計算機革命という3つの大きな変化に続く4番目の革命です。
我々がきちんと上手く制度設計すれば、このAI革命は莫大な富を生み、人々は十分すぎるくらい豊かになります。

最初に火を制御し車輪を発明してから、人類はさまざまなものを生み出してきました。
それら全てを合わせたよりもはるかに大きなテクノロジーの進歩が、今後の100年で起こります。
我々OpenAIは既に、有用なことを学習して遂行するAIシステムを創りました。性能はまだまだ未熟ですが、今後どんどん良くなっていくのは間違いありません。

第2部:万物のためのムーアの法則

大まかに言えば、良い生活を手に入れるには次の2つの方法があります。
1つ目は、個々人がより多くのお金を手に入れることです(それによりその人が裕福になる)。
もう1つは、物の価格が下がることです(それにより皆が裕福になる)。
「あなたが持っているお金で何をどれだけ買えるのか?」という点では、富は購買力であると言えます。

社会全体の富を増やすベストな方法は、食べ物やゲームなどあらゆる商品の生産コストが下がることです。
テクノロジーは多くの分野で、生産コストを急速に低下させます。
半導体の価格とムーアの法則を考えると分かると思います。ここ数十年間、同じ価格の半導体チップは2年で2倍の性能になり続けてきました。また、過去数十年間、アメリカのテレビやコンピュータや娯楽作品などの価格は下がっています。

しかし、住宅や医療、高等教育などにかかる費用は著しく上昇しています。
これらの費用が上昇し続ける限り、富の再分配だけでは問題を解決することはできません。

AIの発達に伴い、商品やサービスの生産コストは下がるでしょう。労働はサプライチェーンで発生する主要なコストであり、AIは労働を代替するからです。
例えばAIロボットが自分が所有する土地の天然資源を採掘して精製し、太陽光エネルギーを使ってその地で家を建設できると仮定した場合、その家の建築コストはAIロボットを使う費用に近くなります。
そしてそのAIロボットが他のAIロボットによって製造されるようになれば、人間がいちいちAIロボットを作るよりも、コストははるかに低下しているはずです。

同様に、人間よりも正確に病気を診断できるAI医師や、生徒が何を理解していないか正確に見抜いて分かりやすく説明できるAI教師も実現するでしょう。

ほしいものが十分に手に入らなかった人々は、「万物のためのムーアの法則」の実現を求めるべきです。
おとぎ話のように聞こえるかもしれませんが、これはテクノロジーで実現できるものです(ものによってはすでに実現しています)。
住宅、教育、食料、衣類などあらゆるものが2年ごとに半分の価格になること、そんな世界がこれから数十年続くことを想像してみてください。

技術革命の後にはいつも起こることですが、私たちは今後も新しい仕事を見つけ出すはずです。
今回のAI革命が実現したとき、社会はものすごく豊かになっています。
そして、私たちは自分がやりたいことを自由にやることができるようになっているでしょう。

第3部:すべての人のための資本主義

安定した経済システムには、成長と包摂の2つの要素が必要です。

経済成長は重要です。なぜなら、ほとんどの人々がより良い生活をしたいと思っているからです。
ゼロサムゲームの社会、つまり経済成長が全くないかほとんどない社会では、人々がお金を奪い合うようになるため、深刻な対立が起きます。
その結果、社会は分極化し、相互不信が生まれます。

一方、経済成長率の高い社会では、対立がはるかに少なくなります。
なぜなら、経済成長の恩恵を皆が受けて以前よりも豊かになるので、奪い合ったり対立したりする必要性が減るからです。

経済的包摂は、皆がそれなりに満足できる生活水準を得られることを意味します。
経済的包摂は重要です。なぜなら公平で安定した社会を生み出し、より多くの人々に富を分配することができるからです。
また、付随して経済成長率をより向上させるという副次的なメリットもあります。

資本主義は経済成長の強力なエンジンです。なぜなら、資産が時の経過とともに価値を生むし、その資産に投資する人が報われるからです。
資本主義は、技術的進歩をうみだし、それを皆が使えるようにする点では優れたインセンティブを持つ仕組みです。

ただ、資本主義がもたらす進歩の裏側には、社会全体で不平等が進むという代償があります。

もちろん、不平等が全て悪いわけではありません。
ある程度の不平等は必要です。過去の事例を見ると、完全な平等を目指した国は全て失敗しました。

しかし、人々が「自分ももっと頑張ろう」と思えるような平等なチャンスすら乏しい社会は、ろくに持たないだろうし、持続的ではないでしょう。

不平等を解消する伝統的な方法は、所得に対し累進課税をかけることでした。
この仕組みは、様々な理由からこれまであまりうまく機能してきませんでしたし、今後はますます機能しなくなるでしょう。
人々は仕事を持っているものの、そのうちほとんどの仕事は、経済的価値という点では今よりも低いものになるだろうからです。

AIがこの世界にある基本的な商品・サービスのうちほとんどを生み出すようになると、人々は自分の大事な人たちとより多くの時間を過ごすようになり、親しい人の世話をしたり、芸術や自然を楽しんだり、お金はさほど儲からないけれど世の中に良い影響があるソーシャルグッドな仕事をする時間が増えると思います。

したがって、労働ではなく資産を中心に課税すべきです。
また、この資産課税を、人々に対し資産の所有権と富を直接的に分配するチャンスであると捉えるべきです。

つまり、資本主義を改善する最良の方法は、すべての人が直接的に企業の株主となり、保有する株式から利益を得られるようにすることなのです。

これは新しいアイデアではないものの、AIがより強力になるにつれて実現可能になるでしょう。
なぜなら、世の中に存在する富の量がものすごく増えるからです。
その富の源泉となるものは、主に
1)株式(特にAIを活用する会社の株式)
2)土地(供給制約があるから)
の2つです。

これら2つの資産に対し課税する方法は多岐にわたりますし、何をすべきかというアイデアもたくさんあります。
長期的には、現在存在する多くの税金を廃止することができるかもしれません。
以下、ブレインストーミングというか、ちょっと思考実験をしてみます。

まず、American Equity Fund(米国資本基金)というものを設立したと仮定します。
ある一定の評価額を超える企業は、その時価総額の2.5%を年に1回、米国資本基金に株式として直接納付します。
また、土地についても、すべての私有地の価値の2.5%をドルで米国資本基金に支払います。

18歳以上の国民には全員、年に一度、米国資本基金からドルと会社の株式が一人一人の口座に配られます。
人々はその配られたお金を自由に使えます。質の高い教育や医療、住宅、会社の立ち上げなど、やりたいことや必要なことなど用途はなんでもOKです。
そうなると、補助金漬けで高コスト体質になっている産業ですらコスト競争に巻き込まれていくでしょう。

国が発展し続ける限り、国民は毎年この基金からより多くのお金を受け取り続けます(平均すれば、という話。経済は今後も調子がいい時も悪い時もあるので)。
したがって、経済的な理由で何かを諦めたりすることは減っていきます。皆がより自由になり、できることが増え、主体的に生きるようになり、人生の選択肢もますます増えていくでしょう。
貧困は大幅に減少し、より多くの人々が、自分が望む生活を送ることができるようになるはずです。

このような株式への資産課税を中心とした税制にすることで、企業・投資家・国民の3者が同じインセンティブを持つようになります。
これは企業の利益に課税する現状の税制とは本質的に全く違います。インセンティブというものは凄まじい力を持っているのです。
企業は利益をごまかしたり、繰り延べたり、海外に移転したりと操作することがあります。また、株価は利益と無関係に動くことも多いです。
しかし、たとえばAmazon株を持ってる人は全員、Amazonの株価が上がることを望むのです。
国が発展して資産価値が増え、それに伴い国民が各々持っている資産価値も増えるので、国民は自分の国がうまくいくことを望むようになります。

アメリカの政治経済学者であるヘンリー・ジョージは、19世紀後半に土地価値税の考えを提案しました。
このコンセプトは経済学者から広く支持されています。
ある土地の価値は、その土地の周囲で行われる諸々の事象によって高まります。
たとえばその土地の周りにある企業がもたらすネットワーク効果や公共交通機関、近くにあるレストランやカフェ、自然などは、その土地の魅力を高めてくれます。
これらの仕事をそこの土地の地主がやったわけではありません。
なのでその土地がもたらす富を、その土地の価値を創ってきた社会全体とシェアするのは、公平性の点でも理にかなっています。

もし誰もがアメリカの価値創造システムの一部を所有しているなら、誰もがアメリカをより良くしたいと望むでしょう。
イノベーションと社会の成功に賭けるまとまった資本があることで、皆が同じインセンティブを持つようになります。
この新しい社会契約においては一部の人だけが報われるのではなく、皆にセーフティネットが提供されます。
また、テクノロジーは社会の富を増やす好循環を創ることができるし、そうするのが望ましいという意見が主流になるでしょう。
(もちろん株価の上昇を願う気持ちが、人権や環境保護などの文脈と相反しないようにするための政策的支援は、引き続き必要となります。)

資本主義がもたらす果実を皆がオーナーとして得る世界では、より悪くない社会を目指すよりも、より良い社会を目指すことの方が重視されるようになるでしょう。
両者は一見似ているように見えますが、実際は全く異なるアプローチです。そして、より良い社会を目指した方が、社会ははるかに良くなります。
単純に言えば、「より良い」とはパイをできるだけ大きくすることに注力することを意味します。一方、「より悪くない」とは、パイをできるだけ公平に分割することを意味します。
どちらも一旦は人々の生活水準を向上させることができますが、その生活水準の向上が持続的になるのはパイが成長するときにのみ起こります。

第4部 社会実装と問題解決

米国資本基金を実現するには、莫大な量の富が必要になります。
現時点で米国企業の時価総額を合計すると、約50兆ドルとなります。過去の100年間の平均に基づくと、これは少なくとも次の10年で倍増すると考えられます。

また、米国には約30兆ドル相当の私有地があります(その土地にある建物などは除いた場合)。
これも次の10年でだいたい2倍になると仮定しましょう。
ここでは、過去のデータより速い成長ペースを仮定しています。これは、AIがもたらす変化を世界が本当に理解し始めたとき、有限な資産の一つである土地の価値はより速いペースで増加するはずだからです。

言うまでもなく、土地所有に関する税負担を増やせば、土地の価値は他の金融資産よりも相対的に低下します。
これは社会にとって良いことであると言えます。
なぜなら、基本的な資源をより利用しやすくし、投機ではなく投資を奨励するからです。
企業の価値も短期的には低下するでしょうが、時が経つと共に、とても素晴らしい業績を上げるようになるでしょう。
これらの税金によって、土地と株式の価値は15%ほど下がることが見込まれます(とはいえ、数年たったら回復するでしょうが)。

これまで述べてきたこと(現在価値、将来の成長率、新税による価値の下落など)を前提に考えると、10年後にはアメリカの成人2.5億人それぞれに、年間約13500ドルずつ支払うことが可能です。
今後AIが経済成長を加速させれば、貰える金額はこれよりずっと増える可能性もあります。少なくとも人々の購買力は今よりはるかに豊かになるはずです。テクノロジーが商品やサービスのコストを大きく減らすので、人々は年々豊かになっていくでしょう。

企業がこの税を払ういちばん楽なやり方は、時価総額の2.5%分の株を毎年新規発行することです。
租税回避したい企業にとっては米国外のオフショアに移転するインセンティブは生じるものの、アメリカ国内でその企業が稼ぐ収益割合を測る簡便な方法はあるので、この点は特に問題にはなりません。
問題があるとしたら、企業が収益を自社の成長に再投資するのではなく、その収益や富を株主に還元する方を選ぶインセンティブの方が強くなることです。

また、仮に上場企業に対してのみ課税する場合、企業が非上場企業のままでいようとするインセンティブも生じてしまいます。
年間収益が10億ドルを超える非上場企業については、上場までの特定の期間において、彼らが払うべき税金分を株式で蓄積させておけばOKです。年間収益が10億ドルを超える非上場企業がずっと非上場であることを選んだ場合、この2.5%税を現金で支払わせれば問題ありません。

人間には自分の利益を最大化する投票インセンティブがあるので、この制度は上手く設計される必要があります。
憲法を修正して課税範囲を明確にするのは、良い安全装置になるかもしれません。税金が成長を抑制するほど過大にならないことが大切です。例えば、企業に課せられる税金は、その平均成長率よりもはるかに低率であるべきです。

また、土地の実際の価値を定量的に測定するしっかりしたシステムも必要です。
1つの方法は、連邦政府内に土地を評価するための優秀な機関を作ることです。
もう1つは、地方政府に評価を行わせることです。
彼らは現在、不動産税を決定するために評価を行っています。彼らは引き続き同じ評価額を使用して地方税を受け取ります。しかし、ある地域の売上が地方政府が推定する不動産の価値から大幅に上回るか下回る場合、その地域の他のすべての不動産が上または下に再評価されます。

理論的には、土地の価値のみに課税し、その上にある建物などには課税しないのが最適な仕組みです。
しかし、土地の価値のみを評価するのは、実務的に難しすぎる可能性があります。そのため、土地とその上にある建物などの両方を課税対象とすべきなのかもしれません(この場合、土地単体の時よりも価値が上がるので、より低い税率を適用するのが望ましいです)。

最後に、基金から将来分配される配当金を担保に借金をしたり、担保を売却するなどの行為は禁止すべきです。
そうでないと、時の経過とともに富が公平に分配されにくくなるという問題を解決できないからです。政府はそういうことを単にできないようにすればOKです

第5部:新しい社会制度への移行

私が考える良い未来は、それほど複雑なものではありません。まとめるとこんな感じです:
・テクノロジーがより多くの富を創出し、それを政策的に公平に分配すること
・生活に必要なものはおおむね安価であり、誰もがそれを手に入れるための十分なお金を持っていること
・この制度はたぶん国民からとても人気になるので、この制度を理解し早く実現しようとする政治家は報われるだろうということ(その政治家は大人気になるはず)

大恐慌当時、フランクリン・ルーズベルト大統領は、5年前までは誰も考えていなかった巨大な社会保障制度を創ることができました。
私たちはいま同じような時代にいます。この制度は多くの立場の人に受け入れられやすい内容であり、とても広く支持されるでしょう。

米国資本基金を創るための現実的かつ痛みが少ない政策手段としては、税率2.5%へと段階的に移行するよう調整し法整備することです。
2.5%の税率は、法整備してからGDPが50%増加するまでの間にのみ適用されます。
最初は少額の配当を配るようにすると、人々がこの新しい仕組みになじみやすくなるので良いでしょう。
GDPが50%成長するのは長期間必要だと思うかもしれませんが(アメリカのGDPは2006年から2019年の13年間で50%成長しました)、AIの時代が到来したら、経済成長のスピードはさらにものすごく速くなるでしょう。
将来的には、株式と土地に対する資産課税によって、他の多くの税金を廃止していくことができるかもしれません。

これらの変化を止めることはできません。
変化を受け入れ、きちんと計画し準備することで、私たちは今よりもはるかに公平かつ幸せで繁栄した社会を創ることができます。
想像できないほど素晴らしい未来が到来するでしょう。

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以上がサムアルトマンが書いた記事の本文になります。

読んでいておとぎ話のように感じた人もいるかもしれませんが、個人的には、ここでサムアルトマンが述べている仕組みに近いものをシンガポール政府はすでに部分的に実現しているので、サムの見解はあながち夢物語ではないと思いました。

ちなみにシンガポール政府がとってきた方針は、次のようなものです:

・株式や不動産など資本主義の果実を還元する上手い仕組みを創り運用している。たとえば、シンガポールの政府系ファンド(Temasek,GIC等)が株式をはじめとする資産を適切に運用し、長年得られた高いリターンを元本を毀損しない形で上手く国民に還元している。また、国内不動産の所有を奨励し、資産価値が上がるメリットが国民に行き渡るようにしている。
・セーフティネットを作りつつも過度に政府に依存しないよう上手いインセンティブ設計を行なっている。たとえば、最低限のベーシックなものを政府が提供し、その上で個々人がほしいものがあれば自分で入手するようにするとか。
シンガポールの事例は、AIが発達する前でも、賢明な政府が上手く工夫すればここまでできるという好例だと言えます。
AI全盛時代になって社会に存在する富の量が莫大に増えた未来社会では、サムアルトマンが上記で述べたことはさらにやりやすくなっていると思います。
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